大判例

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東京地方裁判所 昭和24年(ワ)4948号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實)

原告は被告東京都から借地してその地上に建物を所有していたが、その建物は第六次強制疎開命令によつて除却された。原告は疎開命令解除後被告東京都に對して右土地について賃借の申出をしたが、當時既に同被告はこれを被告片桐に對して、一時使用の目的で、期間を三年と定めて賃貸し、被告片桐はその地上に建物を所有していた。原告はまず疎開當時の借地權の存續を主張し、豫備的に、賃借申出により賃借權の設定を主張して、被告東京都に對し賃借權の確認を、被告片桐に對し建物收去土地明渡を求め、一時使用のための賃借權の存在は罹災都市借地借家臨時處理法第二條第一項但書に該當せず賃借の申出を妨げるものではないと主張した。

(判斷)

裁判所は、原告の舊借地權は強制疎開により消滅したものと認め、豫備的の主張に對しては、一時使用の目的であると否とを問わず、既に疎開土地を權原により現に建物所有の目的で使用する者があるときは、前借地權者は賃借の申出をなし得ないものとして、原告の請求を棄却した。

「………とを合せ考えると、次のように認めることができる。防空法に基ずく建物強制疎開においては、都と強制疎開命令を受けた建物の所有者との間の任意の契約によつて、都がその建物とその敷地に對する借地權を買收するという方法で疎開事業が實施され、第一次から第五次までの建物強制疎開においては、その補償は、目的物につき各別に評價決定してきたが、第六次の建物強制疎開においては、戰局の推移に鑑みて、短時日の間にこれを完了する必要があるところから、補償方法もそれまでのようなわずらわしい手續を採ることをやめ、簡易化することにし、建物の補償價格と借地權の補償價格とを合せた合算額を簡易に算出するという方法を例外なく採つた。そしてその方法は、建物の經過年數に應じて當該建物の賃貸價格に一定の倍率を乘ずることとし、その倍率は十七、五乃至三十二、五と定められた。かようにして算出した額は、個々の建物と借地權を評價した合算額と大差ないものであつた。當時借地權は除いて、建物についてだけ補償してもらいたいと申出る者はなかつた。以上のように認めることができる。そして、辯論の全趣旨によると、原告は第六次建物強制疎開に當り、その補償を受けたことを認めることができ、その補償が前記賃借權を除外して定めたものであることができる資料はないから、右補償は賃借權に對する補償も含み、從つて被告東京都はその補償として本件宅地に對する原告の賃借權を買收した、と認めるのが相當である。」

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